top of page

元は創造神と破壊神しか存在していなかった時期に、創造神によって造られた「人類のプロトタイプ個体」でした。
その後「絶対的なる冥王」として生まれ変わった彼は前世の名と記憶を捨て、「シキ」という名を与えられ再び幼少を過ごすこととなったのです。
しかし当時は姉であったユキに酷く嫌われており、好かれるために必死で彼女の言いなりとなっていました。
その影響で「妹」を欲しがっていたユキの言葉をすべて真に受け、必死に女性的な仕草や見た目を追求し少しずつ成長を重ねていった彼ですが、彼らには人類同等の機能が備わっていました。
男性として生を与えられたシキにのみ、明確な「変声期」が存在していたのです。
それによって声質が変化したシキは「仮初の女性」を維持することができなくなり、姉の願いをかなえることができなくなってしまいました。
姉に嫌われることを強く恐れたシキはその意志の独立性ゆえ精神に異常をきたし、情緒不安定となってしまったのです。
ですが、成長に伴い幼少期の行いを忘れていたユキに「シキは自慢の弟なのでそんなことは気にしていない」という言葉を受け、彼は自身の性を受け入れようとしました。
しかし長い年月をかけて形成された己の性自認を覆すことは容易なことではなく、彼はそれにかなり苦しみました。
そのうえカミサマは自我の乱れを「バグ」と認識するどころか「それこそが最上級の自意識の主張である」と感銘を受け、彼の性自認を修正することはありませんでした。
今では大切に伸ばし手入れしていた毛髪を切り落とし、美しく伸びた細く華奢な指先を隠すために手袋を装着するなどの工夫を自身に凝らしています。

妹「ユメ」の存在
シキは変声期を迎えた後、どうにかして姉の願いをかなえることができないかを必死で模索し続けました。
思慮の末にたどり着いたのは、人間そっくりの球体人形に亡者の魂を閉じ込めることで疑似的に意志を持つ「妹」を作り出すというものでした。
それからは毎日のように球体人形を作り続け、時には現世に自ら赴いて体重を演出できる素材を探すこともありました。
そうして作り上げた等身大の人形にそこら辺を漂っていた死者の魂をむりやり閉じ込め、妹となる「ユメ」を作り上げたのです。
しかしシキは創造神ではないため、思うような妹を作ることは出来ませんでした。
ユメはシキを「親」と認識し、ユキに懐く素振りは見せてくれませんでした。
そのうえ感情や思考を表現する機能が欠落しており、感じていることや思っていることをうまく言語化できなかったのです。
それでもシキはユメを見捨てず、じっくり時間をかけて自身を「兄」、ユキを「姉」であると教育し続けたのです。
結果として少しずつユキを受け入れるユメをシキはこの上なく喜びましたが、ユキ本人はこのことをどのように認識していたのか、シキにはわかりませんでした。
今では形式上は三人姉弟兄妹としてコミュニケーションが出来上がっているようです。
……形式上は。
ユキがユメを本心ではどう思っているのかをシキは知りません。

シキが人間を嫌う理由
シキは人間のことを毛嫌いしています。
人間は自身の前世を受けて創られた究極な生命体であることを知っており、自身にその性質を適応されたせいで散々に苦しめられたと認識しています。
また、人類はシキやカミサマの存在を現存するものとして認知する術をもっておらず、人類そのものが偶発的に誕生した生命体であると広く誤認していることにも憤りを感じています。
カミサマが人類を「最高傑作」と銘打つことにも憤りを感じています。
端的に言えば、「嫉妬」と「逆恨み」と「嫌悪」によってシキは人間を毛嫌いしているのです。
憎悪は深淵にまで到達しており、特殊な人類を観測しない限りはそれが覆ることはないとされています。

シキの女性的要素
身体的・精神的要素のあらゆる部分にそれは爪痕を残しています。
・髪質
・肌質
・まつ毛
・唇
・デコルテ
・肩幅
・筋肉量
・その他骨格
・言葉遣い(ほとんどが矯正され中性的かやや男性的のラインまで至ろうとしています。)
・仕草

現在では性自認を矯正したがり、大人の男性を目指して様々なことに挑戦しようとしています。
例)身長を高く見せるためにヒールの高い靴を好んで使用する、コーヒーを無理やりブラックで飲む、威圧的に接する など
しかし、長い年月をかけて形成されてきた性自認を急に覆すことは「過去の自分自身」を否定することにほかならず、男になろうとするたびに苦しみを覚え、過呼吸発作を起こすことが多々あります。
度重なる「改良」により少しずつありのままの自分を受け入れようとしていますが、それも現時点ではまだ不完全です。



曼珠沙華に関して
※このキャラクターはIFキャラクターです。

曼珠沙華は姉の中に住まう潜在意識と破壊神によって冥府のすべてが崩壊した後に無理やり再構築された「はりぼてのカミサマ」です。
体は凰音シキのまま、彼の腹部には大量の砂と少年少女の崩れた遺体が詰め込まれています。
これは生命体として再生するためにより多くの意識や生命力が必要だったためであり、シキ本人の生命力だけでは再生が不可能だったためです。
複数の生命体によって形成維持されている曼珠沙華は「シキ」であったころの記憶をすべて失っており、自身を作り上げた創造神「盆世理」を「菩薩」と呼び慕っております。
曼珠沙華は機能しなくなり完全に荒廃した終点冥府駅へたどり着いた魂たちを自らの手で形骸化した冥府へいざない、さらに天国も地獄もなくなった虚無の世界で亡者の魂を鎮め現世へと送り返す宿命を背負っています。
現世へ送り返された魂は再び現世で生を受け、再び死を迎えるまで安定した生活を得る。
つまり、曼珠沙華はこの世の生命の「輪廻」をつかさどっています。

全てが崩壊した後現世へ姿をくらました姉とその潜在意識を探し出し「救済」を齎すために、曼珠沙華は人類の魂に輪廻という名の循環を作り出したのです。
創造神は片割れである破壊神に曼珠沙華が破壊されないよう、彼を神格化させました。

曼珠沙華に感情はありません。
ただ、自らの胸部から腹部にかけてミミズのように走る縫合跡を見るたびに一時的に感情を獲得し、憐みの感情を向けることがあります。
時に自身の腹を裂き、遺体や大量の砂と会話を試みています。
彼らがすでに返事することがないということを、彼は知りません。
彼らの名前すらも、知るすべがありません。

その他追加事項があれば追加がなされます。

  • Twitter Clean
bottom of page